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*clap serial


「お前、日仲と付き合ってんの」

夕食の時間、母親が当直のため泰道と二人の夕食の時間に、琴見はその日ずっと気になっていたことを訊いた。

柳井日仲は、朝近の妹である。

同い年なことは知っていたし、琴見と朝近と同じ中学な以上中学は同じだと言うことは予想がついていたが、まさか泰道が日仲を好きだとは思わなかった。それが傍目に、しかもそういう類のことに敏感なわけではない琴見にもわかる程度には、泰道の視線はわかりやすく日仲への好意を語っていた。

「付き合って、ない」

嫌そうに顔を歪める泰道に、琴見は内心呆れながらため息を吐く。

「つーことは、片想いか」

本人としては気持ちを隠しているつもりかもしれないが、わかりやすすぎる。嫌悪感丸出しだ。

「ガキの恋愛事情に興味はねーし、お前が不良嫌いだろうとどうでもいいけどよ」

一瞬目を見開いた泰道を無視したのは本当にどうでもいいからだ。
果たして日仲を好きなこと、不良……自分を嫌っていることのどちらがバレていないと思っていたのかだけは、少し気になるところではあったが。

「日仲の兄貴は、ウチの学校の不良だぜ」

「…それは、柳井さん自身には関係ない」

開き直ったらしく、泰道は口調にも嫌悪感を表しながら琴見を睨んだ。まるで好きでいることを反対されているかのように思っている泰道だが、琴見はそんなつもりは毛頭なく、むしろ少しだけ同情の目すら向けつつ再びため息を吐く。

「日仲、結構なブラコンだぞ」

それでも一応そこまでしか言わないのは、泰道を可哀想だと思った…というよりは、日仲の学校での猫かぶりを知っているからである。日仲本人に言えば、「猫をかぶってるんじゃなくて、一隠れ腐女子として正しい行動をしてるだけだから」などと得意げに言ってきそうなものだが。

琴見は心中本当に泰道に同情しながら、思った。

(あれはお前の手におえる女じゃないぞ…)






(「ちょっとお兄ちゃんー!なんで琴見くんの手作り弁当のこと教えてくれなかったのよ!?そうなった経緯をkwsk!!」)
(「日仲さーん!?お兄ちゃん入浴中なんですけど!?」)
(「うん。で!?」)
(「……………」)


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あきゅろす。
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