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*clap serial
心配

「琴見先輩のことを知っていたんですか?」

霞を送り、日仲を帰らせた三人は琴見の部屋に戻り、もう一度朝近の話を聞いた。朝近としては一応気になったため言っておいたというところなのだが、大きな反応を見せたのは梛月だった。琴見本人は特に反応を見せずに日仲のプリンと一緒に買ったクッキーを食べている。

「おお。しかもマザコンってことまで」
「俺マザコンじゃねーし」
「マザコンだろ。おばさん大好きじゃん」
「母親のこと嫌いな子供が居るかよ」
「お前は反抗期って言葉を知ってるか?」

半ば呆れたように言う朝近に軽いパンチを入れて、琴見は梛月を見る。二人がふざけている間も梛月は考え込んでいた。
なぜなら琴見は基本的にあの不良校で知られていないからだ。元々無駄に喧嘩をするタイプの人間ではない。そしてあそこでリーダーなんてものを張って威張って自分の戦歴を吹聴しているような出たがりとも違うため、たとえ売られた喧嘩を買ったとしても大きな声でそれを言ったりはしない。だから、琴見がそう大きく知られるはずがないのだ。否、強いと知られていたわけではないみたいだが。
それでも、マザコンだなんて家庭内の事情をしっているのはおかしい。

「気になりますね」

小声で言えば意識をクッキーに移していた朝近が振り返る。

「まあ、偶々って可能性もあるしそんな神経質にはならなくていいと思うけどな?」
「朝近先輩神経質ってことば知ってたんですね」
「お前は俺をバカにすることだけは忘れねーのか」

反射のように返して琴見を見れば目があった。琴見は少し心配そうな梛月を見て、へらりと笑って見せる。

「ま、なんかあっても負ける気はねーから大丈夫じゃね?」

あっちはこっちを弱いと思ってるみたいだしと付け加えれば、梛月はため息を吐いて「ですね」と一応納得したような言葉を返した。実際納得しているかは別としても、今考えても栓のないことだろうと思ったからでもあるだろう。
取り敢えず先輩二人に食べきられてしまいそうなクッキーに手を出し、梛月は「なんで琴見の方には納得すんだよ!」と怒りをみせる朝近をおちょくるのに専念した。



(まあ、これから少し気にしないとだけど)


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あきゅろす。
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