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*clap serial
少年

「ああああのっ!!ありがとうございました!!」

そんなことを震える声で、子犬のような目で言われた朝近は、目を丸くした。
ビビって逃げられるかと思っていたのに、まさか礼を言われるとは、と。

「いや別に。イラついてただけだし」

軽く笑って自分よりだいぶ低い位置にある頭に手を乗せれば、中学生の少年は顔を赤くした。

(にしても背低いな…。琴見より低い。中一くらいか?)

俯く少年を見ながらそんなことを推測しつつ、ポンポンと二、三度軽く叩き、手を離す。

「って、お前」

そしてふと視線の先に見つけた赤く流れるそれに、朝近は声を上げた。
少年の首筋に、血が流れていたのだ。更に、その筋の辿る先は、頭。

「大丈夫か!?」
「え、あ、はい…多分」

きっと壁に押し付けられたとき頭を打ったのだろうと説明する少年に、小さく舌打ちして地面に倒れている奴らを蹴とばす。先ほど軽く沈めた二人は小さくうめき声を上げたが、起き上がりはしなかった。

(中一相手に恥ずかしいことしてんじゃねぇよ)

自分と同じ高校とはいえ、虫唾が走る。

「っと…ここからなら琴見の家の方が近いか。ちょっと待ってろ」
「え、あのっ…」

慌てる少年を宥めつつ自分の携帯電話を取り出す。

あの器用な友人なら怪我の手当てくらいはお手の物だ。実際、自分も何度かしてもらったことがある。

ああ、日仲にも電話しないと。と思いながら、朝近は通話ボタンを押した。




(「琴見?今家か?」)
(「怪我人が居んだけど」)
(「あ?俺じゃねーよ。俺じゃないから笑うな!」)


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