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*短編
4

驚愕。

なぜだ。何故生徒会役員以外は入ることを厳重に禁止されている生徒会室にビン底眼鏡が居るんだ。そして何故役員たちは机の上の書類には見向きもせずにそんなダサい奴に甲斐甲斐しく構っているんだ。

気まずすぎる。

どうしたらいいかわからず黙って自分の席に付いてパソコンを立ち上げるたところで、手首に違和感。

「何やってんだよ、穂波もこっち来て話そうぜ!」

ビン底眼鏡の手が僕の手首を掴んでいた。
えええ。マジでやめてほしいんですけど。気持ち悪いもんこいつ。

「あの、でも、仕事…」
「なんだよ、そんなの後でやればいいじゃん!友達だろ!」

友達じゃねーし!!お前だけは要らんし!!

口には、やっぱり出せないが行動で抵抗してみる。
だって他の役員からの視線が痛いんだもの。こっちに来るなというオーラが漂っている。

「友達と仕事どっちが大事なんだよ!そんなんだから友達ができないんだぞ!」

違ぇよ!僕に友達ができないのは人見知りだからだよ!ていうか全く関係のない出会って二日目の奴に何の謂れがあってそんなこと言われないとなんないわけ!?

「なぁ穂波!!」
「ッ痛…」

掴まれている手首が痛い。こんなキモいナリして力は強いとか、最悪じゃん。これ絶対後で痣になるよ。心霊現象かよ。
もうやだ、助けてだれか!主に白屋!!

「おい、もういいだろそいつは」

無茶な願いをかけていると、不意に声がかかった。願いが通じたかと思って声の方を見上げると、そこには不機嫌そうな会長の顔。白屋ではないことはわかりきっていたが。

「…」
「ッぅ、」

うわあぁぁ!!
無意識のうちに会長の顔を見ていたらしく、すいとこちらに顔を向けた会長と目があってしまって即座に逸らす。
やばい。不自然だった今。

もう嫌だよなんだよこれ。一度にいろんなことがありすぎてパニック状態だ。
絶対こいつの所為だよ、そろそろ手離せよ痛いんだよ!なんで眼鏡に髪がかかってんだよ意味ないだろ伊達眼鏡か!伊達でそのセンスかよ笑えねぇよ失笑もんだよ!

「だって、穂波が…!」
「いっ…!」

手首を掴む手に、力が入れられた。

「おい!なんで目合わせないんだよ、無視すんなよ!!人と話すときは目見て話しなさいって言われなかったのかよ!」
「ああもう煩いんだよビン底眼鏡!人の手壊死させるななんて習わなくても知ってんだろ!なんだよそのビン底眼鏡!レンズの進化の歴史に土下座して詫びろ古代人!手痛いんだよ触んなバカぁ!!」
「………………」
「……………?」

あ……あれ?
なんか、部屋の空気が変わった…?

恐る恐る目が合わないようにしながら会長の顔を見上げると、目を丸くして幽霊でも見たかのように僕を凝視していた。ソファに居る他の役員たちも同じく。

「なっ…なんでそんなこと言うんだよ!」

…言う………?

「っ!?」

まさか僕っ…口に、出してた…?

予想外の出来事に急いで逃げようと試みたのだが、それはビン底眼鏡によって遮られた。
掴まれた手首に、今度は多分悪意を持ってより一層の力が込められた。

「痛…離し……」
「最低だ!謝れよ!!」

助けて誰か…。白屋とか贅沢言わないから…本気で僕の手首が折れる前に。
も、ムリ、この状況…泣く…。

「無視すんな!!」

涙腺が緩むのを感じていると、バシ、と頬に痛みが走った。
殴、られ、た…?


カシャンと音がした。

バキ、と――音がした。


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あきゅろす。
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