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*vivid vermilion
8

「なんであんたが生徒会補佐なんだよ!」
「あの転校生に媚売って一緒にいれてもらったんだろ、最低!」

そんな罵倒を受けているのは、本日は俺ではなく上坂くんだった。
昼休み、花ちゃんと学食を避けて裏庭でのんびりとごはんをとったあと教室に帰ろうとして、偶々見つけてしまったのだ。ううん、これは助けるべきなのだろうか。花ちゃんは横に居るが、黙って見ているだけで動く気配なし。どちらかというと傍観したいけど俺の指示待ちってとこかなー。
俺としては会長サマに連絡して俺様×平凡を目の前で繰り広げてほしいぜひ。でも、そうするとまた上坂くんが疎まれるだろうなあ。俺みたいに。誰かあの子を助けてくれないだろうかと思いつつ眺めていると、緊急用のケータイが震えた。相手は…梨人くんだ。

「はいはい」
『夕様、上坂を助けてやってください!』

出てやれば、第一声にそんなことを言われた。ふむ、そいえば梨人くんが上坂くんと仲良いって卜部さん言ってたっけ。てか梨人くんどっから見てんの?
取り敢えず上かなあと思いながら辺りを見回せば梨人くんから急かす声が飛んできた。そんな焦らなくても。
一応、とはいえ可愛いうちの子の頼みなので花ちゃんに目で合図し、そろそろ「ヤっちゃって」パターンで出てきた厳つい男子どもが上坂くんに手をかけたタイミングで、木陰から出た。

「よお」
「っ!!」

不良みたいに出てきた花ちゃんにチワワたちがビクッとこちらを見た。花ちゃんを見て怯えた目は次の瞬間俺を見て嫌悪に変わったが。失礼しちゃうぜ。

「そいつから離れろ」
「…関係ないだろ」

上坂くんへの制裁のたぶん一番上の子が花ちゃんに言い返す。花ちゃんこんな悪人面なのに、怖くないのかな。

「そいつ、こいつの同室者になったからな。面倒起こされると困るんだよ」

イケメンなことを言ってくれる花ちゃんに、会長親衛隊の人たちはたじろぐ。俺たちは引くのを待つ。だがしかし。

「んなもん、こいつらごとヤっちまえばいいんだろ?」

なんていう鶴の一声で、均衡は破れた。

「花巻だったか?どんだけ強くてもこの人数に勝てるわけねぇだろ」

えーと、名前はわからないのでかませ犬くんは周りを見ていう。因みに奴らの数は七人だ。どんだけ人数集めて上坂くん襲おうとしてたんだ。みんな欲求不満か。モブ攻めかあ。まあそういうのも嫌いではないけど…。

「その強気な顔、犯して歪めてやるよ」
「ぶはっ!?」
「…」
「…」

あ、やべ噴き出した。や、でも…

「花巻、襲う気?」
「ああ?てめぇみてーな地味なのよりイイだろ」
「ぶっ…ふ、くく、ふっ…」

こいつ花ちゃん襲う気だ…!しかもわりと積極的に!好みなの!?なんなのモブ花やばいこれは笑う!
今までの思考とか萌えとか全部吹き飛ばして笑うわ!声あげらんないの辛い!

「おいこら夕歩」
「ふひぃ…無理っ…」

笑いやめってことだろうけど無茶いうなよ花ちゃん。これでも我慢してる方だぜ…。
声に出さずに爆笑していると、その態度がどうやら気にくわなかったらしいかませ犬くんが何やら喚いた。なんて言ってるかはよくわかんないけど、たぶんバカにすんなとか言ってると思う。バカにしてないよマジでツボっただけで!イライラしてる花ちゃんが殴ってくるけど気にならないよ!

「おいコラ、やっちまっていいんだな?」
「う、うん、花ちゃんがあんな不良にヤられるタマじゃないとこ見せたげぶふっ」

途中でこらえきれなくなった俺を最後に一発本気で叩いて、花ちゃんは前に出る。相手さんはちょっと面白すぎて見れないけど、なんか一人で勝てると思ってんのかみたいなことを言ってると思う。ああもう、腹筋痛い!


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