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*vivid vermilion
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「…うわあい」

教室に入り、俺は思わず呟いた。
ベタだ…ものすごくベタなイジメがしてある。わかりやすく言うと、俺の席に花が添えてある。
中に入ればクスクスと聞こえてくる笑い声。今時流行ってんのかな、こんないじめ。そしてせっかくなら赤いバラとか用意してほしかった。せっかく赤で統一してるのに、俺の机。
授業中は多分邪魔だよなーと思いつつそのまま席につくとほぼ同時に。
教室の後ろのドアを開け、…早間が入ってきた。目立った外傷他、どこかを庇ってる様子もなし。肉体的にはなにもされなかったようだ。昨日の夜戻ってこなかったから、本隊に連れていかれたんだろうと思ってたんだけど、ここに来れるってことは精神的外傷も特になさそうか。

「おはよう」
「………」

ま、俺としゃべれなくなる程度には堪えてるか。まさか姉さまには会ってないだろうけど、隊の子たちに会っただけでも相当だろうし。
突然無視された俺に周りは一瞬驚きながらも嬉しそうにする。たぶん俺が飽きられたとかそういう思考なんだろうなー。

「早間巽、来てんのか」

ちょっとムカつくかもと思っていると、声をかけられた。まさかこっちの教室に来ていた花ちゃんに驚きながら見上げれば、デコピンされた。なぜ。

「図太いな」

しかもなんでもない風に小声で話続けるし。別にいいけどさ。

「関わらなければ問題はないからな」

一応口調を変えながらこちらも返せば、いや、と否定の声をあげられた。そして、なぜか口に手をあてて塞がれた。理由はたぶん、

「あいつ、姫に会わされたらしいぞ」
「は、ふぐ、」

はああああ!? って、俺が叫ぶだろうと予想していたからだと思う。
だって、姉様て。会ったって。

「詳しくは聞いてないけど、今後一切お前と関わらないことを約束させられたらしい。お守り勢がため息吐いてたぞ」
「そうか」

苦笑を隠してやっと手を離した花ちゃんは「あと」と小さく言って、…なぜか疲弊したように笑った。

「理由はわからねーけどいきなり梨人のものわかりがよくなって、卜部さんが何かを『楽しみにしといて』って言ってたから、何かしらあることを覚悟しとけ」

……何かしらってなに?


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あきゅろす。
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