*vivid vermilion 12 誰が一番酷かったかというと、さすがやっぱり素敵なことに、当然姉様だった。顔をパンパンに腫らした瀬良を剥いて縛って起こして、気絶しない程度にスタンガンで電流を流す。篠原のばちんはたぶんこれの最大電力だ。 きっと世間ではこれを拷問というのだろう。よい子は絶対真似しないでね。悪い子でも真似しないように。 「ゆうくんも花くんも、お疲れ様」 姉様が瀬良をいたぶり続ける間に、卜部さんに心配をされる。俺は怪我はないけど花ちゃんは傷だらけだから、手当て中だ。ふへへへと笑っていれば花ちゃんに小突かれた。だあって花ちゃん見事に受けキャラなんだもの。 「お前がもっとしっかりしてくれてりゃ、俺もこんな風にならなくて済んだはずなんだけどな?見事に理性ぶっ飛ばしやがって」 「えへ」 「可愛い子ぶんな」 確かに俺が冷静なら、ちゃんと逃げられただろう。そのへんはちゃんと、反省はしてる。 だけど、瀬良相手に冷静でいられるほど俺はまともな奴ではない。だからこれはもう仕方なかったのだ。 花ちゃんもそれはわかってるはずなのに、なんでこんなに怒っているのか。 「それに」 「へ?うわっ」 ぽいと、なにかを投げられ俺は反射的にキャッチする。見れば投げられたのは黒い物体で。 「会長にもバレやがって」 俺の鬘だった。 あ。ああー…。 そういえばと会長サマをみるとひたすらこっちをガン見している。こええ。こええよ。 「…嘉山、夕歩」 会長サマは俺を呼んで、困った顔をする。 「もういいか?」 あ、ちゃんとそこ聞くのね。花ちゃんの黙ってるのを見て、俺ははいと頷く。どのテンションでいっていいのかわかんない。 「いろいろ、説明してくれ」 頼むとまで言う会長サマに、俺はいろいろ、を説明した。 [*前へ][次へ#] [戻る] |