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どうも、鏑木志麻です。
今俺は大変な目に合っています。
取り敢えず、うん。

「凌おおお!!」

朝一番なんてことはこの際気にせずに電話をかけ、本気で叫ぶと凌は驚いたような声で「何?」と返してきた。ここで嫌そうにしないのが凌のいいところだと思うが今はそんなこと言ってる場合じゃなくて。

「ねこっ…」
「猫?」

猫。ネコじゃなくて猫。

「猫耳、生えた…」
「…待って、今パソコン開くから」

多分それは、某有名ネット電話を開くということなのだろう。俺もパソコンを開き、マイクをセットしてカメラを起動させた。少ししてかかってきた電話に応え、ケータイの方を切り、画面を見れば、凌の驚き顔。

「…本物、だよね?」
「…泣きたいことに、本物だ」

ピコンと動く耳に、凌は「おお」と声をあげた。

「尻尾は?」
「……ある」
「典型的なBL的猫化だね」
「ちょっと嬉しそうにすんな!」

無意識に尻尾を振ってしまい、本当に神経が通っているんだと再び落ち込む。
なんだって俺がこんな目に…。夏彦の中身だったらおいしいかもしれないけど、たとえ見た目は夏彦でも中身が俺じゃ何も楽しくない。いやでも俺の身体じゃなかっただけまだマシなのか…。

「まぁ、一日経ったら消えるかもしれないし、部屋で寝てれば何もないでしょ」
「ああ…」

そうだよな。ここに居れば誰にも会うことはないだろうし、おとなしく一日寝てれば直るよな。
そんなことを思いながら俺は、碓氷に今日は行けないことをメールして、二度寝することにした。


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あきゅろす。
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