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「なあファルコ」

 返答はなし。
 この男は機嫌が悪いと当然のようにヒトを無視する。とっくの昔に慣れたフォックスは、それでも気分がいいもんじゃないなと溜息を吐いて用件を伝えた。

「誰かは分かんないんだけど、ファルコ宛にウイングリペアが届いてるんだよ。どうする?」
「何!?」
 ぐるんと首を180度近く後ろに回し、ファルコは反応した。思わず「ヒッ!」と身を竦ませてしまったのに対して、彼は「俺はフクロウじゃねえ」と言った。
 フクロウは確かその軸方向に首を回せるわけではなかったはずだが、そんなことは今はどうでもいい。
「身に覚え、あるのか?」
「…ないわけじゃ、ない」
「ひょっとしてウルf
「それ以上口に出そうもんなら殺すかんな」

 この上なく理不尽だ。ならばフォックスからは、ファルコのみに通じる最後の切り札。

「そ、じゃ、アーウィンの修理代、給料から天引きね!」
「そうでーすウルフからもらったんですー多分ー」

 即座に返って来たぶすくれた声の白状に満足しながら、フォックスはそうですかそうですかと頷いた。
 思わず拳を握り締めるファルコ。このクソ狐と、それ以上にあの男を殴りたい。


「覚えてろよ…ッ!」



 END.

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