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前日


千堂翼は裸にシーツを羽織った格好で洗面所に身を隠していた。
扉一枚挟んだリビングルームでは、靖幸と野原が話している。
ここは靖幸の部屋だ。

「それでな、俺、未鷺を手伝ってあげようと思ったから風紀委員補助になろうとしたんだ」
「へぇ、偉いな」
「だろ?!でも、俺は落ちたんだぜ?それで元秋が補助になってたんだ!俺に応募したって教えてくれなかったし」

野原の声は大きいので翼にもはっきり聞こえた。
相槌を打つ靖幸の優しげな声に、それが演技だとわかっていても嫉妬してしまう。

「明日から宿泊学習なんだから鬼原ともっと仲良くなるチャンスだろ。一緒にいてあげろよ」
「うん、そうする!」

靖幸は早く寝るように言って、野原を部屋に帰した。
それを見計らって翼は洗面所を出る。

「見事になつきましたね」

真っ黒な瞳を靖幸に向けてふわりと笑った。

「扱い易くて良いだろ」

靖幸は翼の耳元で囁いた。

「お前も前に言った通りに出来るよな」
「はい」

返事を聞くと靖幸はソファーに翼を押し倒した。

翼は靖幸の緑色の瞳を見つめながら、彼の心を探ろうとしたが、唇が首筋に振ってきたとき考えるのを止めた。

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あきゅろす。
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