クラス
鳴鈴学園では特別な家柄の生徒はSクラスに入って、帝王学や第二外国語を普通のカリキュラムに加えて学ぶようになっている。
学業特待生はAクラス、スポーツ特待生はEクラス、B〜Dクラスは成績順だ。
未鷺は家柄ではSクラスが順当だったが、拒否したため高等部からBクラスになった。
しかし学業特待生よりも成績は良い。
「おはようございます!菖蒲さん」
「ああ」
教室に未鷺が入ると皆の注目が集まる。
今日も麗しい、綺麗だ、と外見を褒める声が聞こえるが、未鷺は無視をする。
未鷺はいつも窓側の後ろの席に座っている。
クラスメイトは未鷺をその特等席に座らせることに決めているらしく、席替えしてもそこだけは変わらない。
一時間目は数学だった。
予習してある内容だったので未鷺には退屈だった。
外が騒がしくて窓越しに校庭を見下ろすと、体育をやっていた。
野球。
バッターは他の生徒より二回りは大きい生徒、元秋であった。
ピッチャーが投げたボールを軽々打ち返した彼を見て、未鷺は思わず口許を緩める。
誰かが見ていたら夢中になりそうなほど甘い表情だった。
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