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続・副会長の憂鬱2

「変なことって?例えば?」

アスカは甘い垂れ目を細めくすりと笑う。
野原はアスカの醸し出す色気に顔を更に赤らめながら、言い返す。

「アスカが普段いろんな人としてることだよ!」
「え、なんだろ?ミサちゃんの嫌がるようなことはしてないけどな」

あくまでもとぼけるつもりらしいアスカに、野原は目を吊り上げた。

「そんなの、そんなの嘘に決まってる!未鷺を馴れ馴れしく呼ぶなよ!」

野原が言い放つとアスカは魅惑的な笑みのまま鼻を鳴らした。

「ヤマグチ君こそ、ミサちゃんに嫌がられてないかな。よーく考えてみなよ」
「俺が嫌がられてるなんて……未鷺とは友達だぞ!」
「へぇ、その割にはミサちゃんのこと何にもわかろうとしてないみたいだけどね」
「そんな……!」

野原が眼鏡の奥の目に涙を浮かばせてなおも食い下がろうとしたのを、空が二人の間に割って入って止めた。

「いて。なんだよー、陸」

背後から髪を引っ張られてアスカは口を尖らせる。
陸はアスカの髪の束を掴んだ手に力を込めた。

「野原にンな口聞いてんじゃねェよ」
「ごめんごめん。もうしないよ、一般生徒が生徒会室から出てったらね」
「アスカ君、やめて」

空が可愛らしい顔を歪めて野原の前に立ち塞がる。

「野原、大丈夫?」

振り向いた空が顔を覗き込もうとすると、野原はぶんぶんと頭を振った。

「だ、大丈夫。あの、ちょっと予定思い出したから!」

空が手を伸ばすのを振り切って、野原は生徒会室を飛び出した。
空と陸は慌ててそれを追った。

「静谷先輩……」

慎一は笑みを消してアスカを睨みつける。
アスカは面白そうに笑った。

「お茶にするんじゃなかったっけ。俺あっつい紅茶がいいなー」
「ふざけないで下さい。野原は僕が呼んだ客ですよ」
「呼ぶならもうちょっとマシなの呼んでくんない?」
「菖蒲未鷺とか、ですか」

慎一が言うと、アスカは吹き出した。
アスカが笑うことを期待していなかった慎一は顔をしかめる。

「ミサちゃん?いいね、華やかになるし、仕事してないのを見たら怒ってくれそうだしね。でもミサちゃんはいないから俺が言うよ」

アスカの顔から一切の感情が消えた。

「役員なら与えられた仕事くらいしろ、無能」

慎一は初めて聞くアスカの低い声に身震いした。
閉口する慎一を見て、アスカは笑顔に戻った。

「なんちゃってー」

パソコンを起動させて話は終わりだとばかりに追い払われ、慎一は席に戻った。

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あきゅろす。
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