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同室者

「あっ、帰って来た。菖蒲さん今日も外でお風呂入ってきたのー?」

未鷺が312号室に戻ると共有スペースに同室者の三嶋或人(みしまあると)がいた。
或人は飾り気はないが整った顔の男前で、小規模な親衛隊を持っている。
親衛隊とは特に容姿が優れた生徒のファンクラブのようなもので、未鷺にもある。

「三嶋には関係ない」
「ひっどぉー。オレは菖蒲さんが変な男に騙されてヤられてんじゃないかって心配してるのにー」
「黙れ」
「せっかくの処女は大切にしなきゃね!」

或人とこれ以上会話する気はなかったので未鷺は奥の個室に入った。
或人とは二年になってから同室になった。
初対面から或人に良い印象はなかったが、今は特に苦手に感じていた。
未鷺は或人の嘗めるような目線に気付くことがあったが、決して目は合わなかった。

ふと、未鷺は元秋の目を思い出す。
男らしい骨張った輪郭の中で、やんちゃな子供のような真っ黒の目が光るのが好きだった。

風紀委員に寄せられた厄介事を纏めた書類に目を通してから眠る前に頭に浮かんだのは元秋のことだった。

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