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三日目4

未鷺がすぐに足を止めたため、元秋達は息を殺す。
空と陸は未鷺が止まった場所を見て目を丸めた。

戸惑いなく未鷺がチャイムを鳴らすとすぐにドアが開いた。
元秋からはドアに隠れて部屋の主人が見えなかった。
頭を下げて未鷺は部屋の中に入って行った。

ドアが閉まると双子はにやっと笑った。

「まさか菖蒲ちゃんがねぇ」
「静谷の部屋にいるってな」

顔を見合わせる空と陸を野原は順に見る。

「静谷って誰だ?」
「うちの会計だよ。すごいヤリチンで有名なね」

野原に説明する空の顔は、元秋には勝ち誇っているように見えた。
未鷺の弱みを握ったと思ったのだろう。

「菖蒲はあんなクソマジメな顔して静谷にヤられまくってンだな」
「み、未鷺がそんなことするわけないだろ!」
「残念だけどね、野原……」

空は眼鏡を外して潤んだ瞳で野原を見た。
慈悲深い天使の表情である。

「アスカ君はこの学園で一、二を争うくらいセフレがたくさんいるんだよ。アスカ君の部屋に行って抱かれない子はいないよ」
「そんな……」

野原は顔を真っ赤にして俯いた。

「今頃はもうお楽しみ中だな。静谷は上手いらしいし菖蒲も満足だろ」
「そんなのだめだ!好きな人以外とするような奴と未鷺がしちゃいけない!」

口の端を上げて笑った陸に野原が顔を上げて怒鳴った。

「だから未鷺は傷付いてるんだな……。俺が助けてあげなくちゃ!」

神妙な顔で決意を新たにした野原に見えないところで、双子は未鷺への嫉妬心を剥き出しにした顔をした。

野原は未鷺を解放する方法を考えることに夢中になり、双子は未鷺をどうやって追い詰めるか考えていた。

だから元秋が未鷺のいるアスカの部屋のドアを鋭い目で睨んでいることに気付く者はいなかった。

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