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元秋の受難3



人気のない西校舎裏で元秋を待ち構えていたのは体型も顔も普通な生徒一人だった。
喧嘩する気できた元秋は拍子抜けする。

「俺を呼び出したのはてめえか」
「山口野原を利用して生徒会の皆様にお近づきになろうとしている鬼原元秋だな」
「馬鹿か?あんなお坊ちゃん達に好きこのんで近づくかってんだよ」

何を言われるかと思えばこれだ。
生徒会に近付く暇があったら未鷺に近付いている。

「僕たちはお前が生徒会の皆様に害をなす可能性があると判断した」
「だったらどうすんだよ」
「排除する」

はっきりとその生徒が言うと、倉庫の陰からガタイの良い生徒達が5、6人出てきた。
にや、と元秋は笑ってブレザーを脱ぐと放り投げた。
言い合いよりは身体を動かす方が好きだ。
血が騒ぐ。

「俺をボコボコにするってか。おもしれえ」

元秋ほどではないが、背が高く肩幅もある生徒ばかりが、元秋を囲む。

「やれ」

最初にいた生徒の命令で、いっきに皆が動いた。
正面にいた生徒が、拳を振り上げて迫って来る。
後ろからも襲いかかってくる気配を感じ、元秋は正面の生徒に駆け寄り拳を鳩尾に叩き込んで振り返る。
飛びかかってきた生徒を蹴り上げ、左から狙ってきた拳を掌で受け取り、そのまま掴んで引き倒した。

「どうした?手応えねえな」

立っているのは元秋の他は二人だけだ。
最初いた生徒はもういなくなっている。

元秋に睨まれた男達が後退りしたその時――、

「元秋ーっ!」

箒を片手に野原が息を切らせて走って来た。

「おいお前来んじゃねえよ!」

元秋はどんなに殴られた時よりも目眩を感じた。

それを見た生徒達は不敵に笑う。
形勢逆転の予感がした。

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