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親衛隊の始動


「菖蒲先輩、連れて来ました」

朝のホームルーム前、風紀委員室に一人の生徒が連行されてきた。
どちらかというと可愛い部類に入るその生徒は、悔しそうに俯いている。

「山口野原の机にこれを入れようとしたのはお前だな」

異臭を発する生ゴミ入りの袋を指差して未鷺は生徒を見下ろした。

「……はい」

この生徒は、未鷺の指示で野原の私物を見張っていた風紀委員に現行犯で捕まった。

「誰かの親衛隊か」
「……」
「調べればわかることだ」「……僕は竜ヶ崎靖幸様の親衛隊に入ってますが、山口の机にいたずらしようとしたのは僕の独断です」

生徒はそう答えたが、靖幸の親衛隊の下っぱが独断で動くとは考えられなかった。
靖幸親衛隊にはカリスマ的な隊長がいるのだ。

「今回は処分保留にする。親衛隊長に面倒を起こすなと伝えておけ」

親衛隊が動き始めた。
靖幸の親衛隊だけでなく、慎一や双子の親衛隊が動いてもおかしくない。
爽太の親衛隊にも注意が必要だ。

「二年生は山口野原周辺に注意を払え。一年生は親衛隊の動向を探れ」

未鷺が風紀委員全体に言うと、「はい」と威勢の良い返事が帰ってきた。

まだ今日は始まったばかりである。

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あきゅろす。
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