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協力的な親衛隊


未鷺は見回りを終えると元秋の部屋に寄らずに自室に戻った。

或人がソファーに座ってDVDを観ている横を無言で通り過ぎる。

「待って、菖蒲さん」

引き留めた或人は口元だけで笑ういつもの表情だ。
未鷺が振り返るのを待って、或人は続けた。

「お昼の件聞いたよ。転入生の子のことで大騒ぎだったらしいよね」
「それがどうした」
「俺達することある?菖蒲未鷺親衛隊として」

三嶋或人は未鷺の親衛隊の副隊長だった。

「例えば、山口野原を二度と人前に出られない姿にする、とか」
「……止めろ」
「冗談だって。他の親衛隊が動いたら知らせればいーんでしょ?未鷺様親衛隊は本人に協力的だからねー」

未鷺の親衛隊は七割は未鷺を抱きたいタチだが、残りの三割は未鷺に憧れを抱いているネコだ。
その性質上、未鷺の言うことを聞く者がほとんどで、情報収集を手伝っている。

「副隊長として、菖蒲さんのために頑張りまーす」

敬礼のポーズでおどけた或人を置いて、未鷺は個室に入った。

「菖蒲さんなんであんなに不機嫌なんだろ」

或人が呟いたことにも気付かずに。

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