食堂の喧噪をあとに
「待ってよ。靖幸」
食堂を後にした生徒会役員達は靖幸を先頭に生徒会室に戻っていた。
もともと慎一は野原に会おうと他の役員に内緒で食堂へ向かっていたのだが、一階でそのほとんどと再会することになった。
そうすれば別行動を取るわけにもいかず、おかげであんな騒ぎを起こしてしまったのだ。
「どうしてキスなんかしたんだよ」
微笑みの貴公子の顔が引きつっている。
靖幸は歩きながら慎一を一瞥すると、薄く笑った。
「困らせたくなったんだよ」
「野原君を?あれは困るだけじゃ済まない」
野原が親衛隊に目をつけられただろうことや、これから起こりうる被害まで、せきを切ったように話しだす慎一を見ながら、靖幸は違う人物のことを考えていた。
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