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或る恋の決着3

「何だ」

未鷺は怪訝そうな声音で聞き返した。
或人は眉間に深い皺を寄せた元秋を一瞥してから未鷺に視線を戻す。

「もう一度だけ、告白していい?」

それだけでふっ切れるとは或人にはとても思えなかった。
しかし、溢れる気持ちを口に出したくて堪らなかった。

「……ああ」

未鷺が頷くと、元秋は舌打ちして苦笑いをし、背を向けた。
或人は無邪気な顔で微笑む。

「菖蒲さん……未鷺、好きだよ」

そして腰を落とし恭しくひざまずく。

「この馬鹿な俺と駆け落ちしてくれませんか」

かつてふざけて言った本音を、或人は真剣に口にした。
自分は今回も未鷺と幸せになる王子にはなれないとわかっていながら。

「三嶋、悪い。俺は居たい場所を見つけた」

その言葉で振り返った元秋は驚いた様子で未鷺を見つめる。

「うん、わかってた。答えてくれてありがとう」

或人は未鷺に抱き着きたかったが、元秋がいるのではそうもいかない。

「それにしても、今回の王子様はずいぶん変わってるね」
「そうだろう」

或人が笑いかけて未鷺が頷く。
そんな久しぶりのやり取りが嬉しくて、或人はまた泣きそうになった。

「実感が沸かない。俺は未鷺の友達に復帰できたんだよね」
「泣くほど嫌か」
「泣くほど嬉しいんだよ。俺フラれたのに今は嬉しさの方が勝ってるんだ。すごく幸せ。これってなんなの?」
「知らねえよ」

元秋は笑いながら或人に歩み寄って、再びテイッシュ箱を渡した。

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