ゲスト?
「未鷺様!」
風紀委員の姿を探して屋外ステージの裏の仮設テントの前を通ると、目を輝かせた生徒に呼び止められた。
生徒の胸には『ミスコン実行委員』の札が貼ってある。
「特別ゲストは未鷺様だったんですね!誰も来ないからどうなるかと……。さあさあこちらへ!」
状況の読めない未鷺は手を引かれるままカーテンで仕切られた空間に連れ込まれた。
「衣装はこちらです!時間はあまりないですが未鷺様のお美しさなら化粧に時間はかかりませんし」
「……出場する予定はないのだが」
「またまたー、恥ずかしがらなくても良いですよ。未鷺様なら間違いなく一位ですって」
じゃあこれに着替えて下さいね、と衣装らしき物を渡され外からカーテンを閉められた。
未鷺は寝起きのぼうっとした頭で衣装を見つめた。
どうしてこうなったのだろうか、と思いながらも、それに着替える以外の選択肢を見つけられなかった。
ミスコン実行委員は安堵感に包まれていた。
「靖幸様が呼んだ特別ゲストが未鷺様だったなんてびっくりだなぁ」
「未鷺様が出場されたら盛り上がること間違いなし」
ただ一人衣装発注担当者だけが首を傾げていた。
「変だなぁ。靖幸様からゲストの身長は160センチくらいって聞いてたのに」
未鷺様って170以上はあるよなぁ。
その疑問の声は未鷺の登場に沸いている他の委員の耳には届かなかった。
(*前へ)(次へ#)
[戻る]
無料HPエムペ!