避難所?
「ちゃんと勃ってきてんじゃねえか」
満足そうに元秋は言って自分のものと合わせて握る。
「な、何を」
「扱き合うって言ったろ」
思わず顔を上げてしまった未鷺は元秋の股間を見て驚愕する。
元秋が大柄だといえ自分のものと比べ色も大きさも段違いなそれは、もはや凶器のようだった。
「何考えてんだよ」
「何も、うっ……は」
二本を擦り合わせるように扱かれて未鷺は声を漏らした。
未鷺の悩ましげに寄る眉や細められた目はそれだけで元秋を刺激する。
「あっ、嫌だ、んぅ……」
「そうは見えねえけどな」
未鷺の細い腰は我慢し切れず揺れている。
二人の喘ぎと吐息が切羽詰まったものになり、元秋が未鷺のものの尖端に爪を立てると、未鷺は悶えながらイった。
元秋はイく未鷺の顔を見ながら未鷺の腹に出した。
「……人にかけるな」
「もともとお前のがかかってんだからいいじゃねえか」
紅潮した顔で拗ねたように言う未鷺を見ていたら己が復活してしまいそうで、枕元の棚にあるティッシュで未鷺の腹を拭ってやると、風呂に入って来るように言った。
未鷺が恥ずかしそうに従うのを見送って、皺にならないうちに未鷺のブレザーとズボンをハンガーにかけてやる。
その時ふわりと花のような香りがした。
未鷺の香りだ。
香水をつけるようなタイプではないので、シャンプーや石鹸の臭いだろうかと元秋は思う。
元秋の部屋で入浴するときは未鷺は元秋のシャンプーや石鹸を使う。
こだわりのない元秋は安物を使っているのだが、未鷺のきめ細やかな肌や艶のある髪が台無しになってしまうのは嫌だった。
風呂から上がった未鷺はリビングのソファーに座り髪にドライヤーをかけている。
漂うのは未鷺の花の香りと自分が使っているシャンプーの匂いで、元秋は支配欲が満たされる気持ちと、もったいなというと思いを同時に感じた。
「菖蒲、自分のシャンプーやら石鹸やら持って来い。ここの風呂場に置いてけ」
突然の元秋の申し出に未鷺は不思議そうにする。
「必要であれば代金は払うが?」
「金の問題じゃねえよ。俺んとこのは安物だから、お前の肌と髪には良くねえと思ってな」
「……そんなに悪いものを使っているのか」
「メリットは庶民には優しいがお前には厳しいだろ」
「メリット?」
未鷺は首を傾げたが、風呂用具一式を持って来ることには同意した。
「予備がないので家のものに送るよう連絡する」
「……そうか」
自分で買わねえのかよ、とつっこんではいけない気がして元秋は頷いた。
「そういや俺に何か用があったんじゃねえのか?」
この時間に未鷺が来るのは初めてだったのを思い出した。
「腹が立つ出来事があったがここへ来たらどうでもよくなった。まさか襲われるとは思わなかったが」
「あんなの襲ったうちに入んねえよ。気持ち良かっただろ」
未鷺は返事をせずに挨拶だけすると覗き穴から廊下に誰もいないのを確認し、素早く出て行った。
元秋は引き止めたい気持ちを抑えて、苦笑した。
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