2 開店と同時にダッシュをかます色濃い集団の向かう先は、もちろん新世紀エパンゲリオン〜約束の時。 10年の時を経て序から数編の映画が公開予定で、斬新な描写と精神をテーマにして一大ブームを巻き起こしたアニメ作品だ。 当時中学生だった俺も深夜眠い目をこすり、せきららなレヒちゃんにお世話になったものだ。 俺のナンバーワンは、ミハトと恋人とのラブホでのあのシーン。 タバコの煙だけが揺れる停止画で、最中のミハトの声だけが響くあの伝説のシーンは今も記憶に新しい。 高いヒールを鳴らして走る奈子が俺に気付いてニヤッと笑った。 アイツはクールなレヒちゃんというより、対峙したもう一人の性格の悪い美少女ヒロインだ。 口癖とも言える台詞を言うアイツを鮮明に連想できる。 「……うぉっ」 「あっ、カンニンな〜。 奈子ちゃん早い〜、待って〜!!」 俺にぶつかってきたのは、クリストファー・ウェザーフィールド。 クリスとかいったか? アンネリーの常連だったし、怪しい風貌と関西弁がミスマッチでよく覚えてた。 それにしても、なんでクリス……? 「じゃあクリスくんはサンドにリッチを入れて、わたしの下皿に入れてね!わたしはそれを、ここに入れて七を揃えてみせるから。 一緒に頑張ろうね!」 「うんうん!!」 ああ……かわいそうに。 純朴な僕は嬉しそうにリッチをサンドにいれていく。 「サンド?サンドイッチ?ああ、リッチをいれるトコからサンドイッチがでてくるからサンドリッチ〜なんちて!」 「………………………わあ〜、クリスくんたら面白ぉい!!」 シマの空気にビシビシと亀裂が入る。 シマ全体のシンクロ率は120%オーバーだ。 だけど、奈子はビクビクと口許が震えるだけだった。 あんなアイツはレアだ。プレミアだ。 珍しい物を見たって感じに、にやにやしてたらキッと睨まれた。 「あっこれ、約束のフラダ新作限定バック〜。あっちでも人気やったよ」 「わぁ〜!!いいの?」 「ええよ、ええよ。 ねぇねぇ、奈子ちゃん。ほんまにレヒちゃんのフラグスーツ着てくれるん?」 「うん♪」 アイツの人員配置は 針谷→アッシー クリス→みつぐくん らしい。 はいはい。 どーせ、俺は昭和生まれです。 じゃ、アイツにとって俺ってなんなんだろう? うーん……考えても分かんねー事は寝ちまって忘れるに限る。 [*前へ][次へ#] |