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「お前な〜……」
「なんですか?
……いった〜っ!!」


奈子に近付いて、チョップチョッパーチョッペストをかましてやった。


「かわいそうだろうが……」
「なんでですか?
カワイイでしょ?ハリー。
でも、ナイショですよ?ハリーはかっこいいって言わないと怒るの」


まだおかしくて堪らないって顔した奈子が「面白かった!」と声を立てて笑いはじめた。


この、悪魔……っ




「オイ!!オマエ!!何やってんだよ」
「ハリー」


音を立てて帰ってきた針谷が奈子の腰を掴むと、俺を睨んできた。


おー……、若いな。
復活したのか?
なんていうほど俺は意地悪じゃない。


「あ……れ?真咲先輩じゃないっすか?」
「おぅ、久し振りだな」


アンネリーの配達ではね学に行った時、勝己と一緒に試行錯誤で技巧の課題に取組む針谷と話した事がある。

針谷はあの時から、ちっとも成長していない様に見える。
背も、幼い印象の顔も……。

ぶうっとむくれた声で「なんで……先輩と」なんて言った針谷に、堪んなくなってきた俺。



「はは、カワイイな〜」


グリグリ頭に置いた手も、針谷にとっては禁止事項だったらしい。


「……そんな事、ないっすよ」


先輩に対する敬意から、正面から怒る事はしないのか。
でも顔がなー、顔がな。
不満いっぱいってのが隠れてないぞ。

素直な反応に好感を持った俺は悪い悪いと謝った。


「はは、よし、笑った詫びだ。俺が旨いもんおごってやる。」
「マジで!!」
「やった〜!!」


ちゃっかり、奈子にもおごる事になっている。


二人の後輩に早く早くと手を引かれ、
こりゃタバコはしばらく禁煙だな…と苦笑いを隠せない俺なのであった。

End.


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