2 スロットコーナーの半分を押さえたシャグラーのシマ。 ぬるま湯に浸かりきったオヤジ達が、今日も持参の水筒から茶をだし乾杯を交わしている。 俺はそんなアットホームな雰囲気のオヤジ達に群れるような真似はしない。 かき集めたリッチを握って、タバコ代を稼ぐ為だけにここにきた。 今月こそ……ヤバイかもしれない。 「なぁ〜、カラオケ行こうぜ?」 「ね、ちょっとだけ。」 俺よりKYな、派手なバンドマンといっしょに派手な女がシャグラーのシマに入って来た。 ぎゃあぎゃあと騒ぐのは……やっぱりな、奈子だ。 例のバンドマン針谷も一緒だ。 「ここ、タバコの煙きついし、くせぇし……。……加えてこの大音量の音!!耳まで響いてうるせぇ……」 思いっきり帰りたそうな針谷の腕に奈子のソレが絡まると、針谷の顔がポッと赤くなる。 「この台にね……わたし、特別な思い入れがあるの…」 「……は?」 「この台のココ!!この輝き!!このランプがつく度ハリーを思い出すの。……ハリー輝いてるよ!」 ……輝いているあたりがきいたのか。 微妙な顔をし、ワケわかんねぇ…!!といいつつ顔はデレデレしまってない。 俺は知っている。 ランプのその輝き… いつ光るか分からない、どこで光るのが分からないのはシャグラーシリーズの定番だと言う事を。 [*前へ][次へ#] |