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「……へっただなー。」
「ウルサイ。」


昼休みに音楽室でギターを弾くようになって随分たつのに、隣りで弦を弾く佐伯はいつまでたっても上達の兆しが見えない。


「なあ、俺ちょっとは上手くなってるのかな……。」
「まー、こーゆーのはセンスだからな。」


なんつーか、微妙。
ピストルズの名曲も佐伯の手にかかると、型無しだ。
……まあ、これもある意味でロックだけど。


「はぁ……。」
「でもな、練習あるのみ!!しかもハリー先生の指導付きなんだから、上手くなんねぇ方がおかしいっつーの!!」
「プッ。何だよそれ。……うん、でもま、そうだよな。」


そう言って頷いた佐伯はまたギターを弾きはじめた。

王子だのプリンスだの言われて、いつもうっとおしそうに髪をかき上げて笑うコイツからは想像もつかないんだろうな。
けどギターにかじりつくコイツは嫌いじゃないぞ。うん。

力の入り具合を見てやったらなんとか形になってきた。


でも、なんつーかリズムがな……。




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