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「奈子」


夜の会場を散り散りに跡にするヤツらを掻き分けて奈子を呼ぶ声がした。


パッと顔を上げた奈子は目の前のオレから視線を外して振り向いた。
オレじゃない奈子を呼ぶ声に、釣られる様に顔を向けた。


「奈子、ここに居たのか。」


そこには見慣れた男がオレの知らない顔して立ってた。


「瑛くん!!」


今度は奈子だ。
佐伯を知らない名前で呼ぶ。


「……今、ちょっといいか?」
「うん」


オレに目を向けてからすぐに話し出す。
嬉しそうに頷く奈子はオレに向かって手を降った。


「バイバイ、ハリー。」
「……じゃあな、針谷」


佐伯の目がオレを指す。薄く笑った顔は知らない。今まで見た事ねぇぐらいの違和感。


……なんだ?



クリスマスの夜はチラチラ雪が降りはじめてて。薄くなる視界の向こうに二人が消えてく。



はらはらと手のひらに落ちた雪がひとつ、消えた。


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あきゅろす。
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