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う〜……
っていってもやっぱ緊張すんな、こういうのは。


ステージに立った途端にワラワラワイワイ集まり出すギャラリーは見知った顔ばっか。
けど、ステージを立つオレを見てはやし立てるし、ウッセェよ!なんて軽口返すのがやっとだった。


……ちょっとヤベェ、かも、


「…………っ。」


そう考えだしたらもうダメだった。フッといつもみてぇに音が消え始める。
声も演奏も周りの音全部が聞こえない。
背筋に冷たい汗がつぅって伝うしマイクを握る手に力が入らない。


ダメだ、
ダメだっ……。


焦りまくった顔を見られたくなくて顔が下がる。


「……ハリ…」


微かに聞こえた声に顔を上げた。人並みの中をスルスル抜けて一番前に来た奈子がオレを見てる。


「……ハリー、……頑張って!!」


フッと耳から音が消えた中に奈子がいて。不思議と二人っきりみたいに感じた。


忘れられない夜を思い出す。
伝えられなくて、
弱ェ自分が大嫌いで
泣いた夜。


「ハリー……!!」


顔を上げた先にはオレを見る奈子。
胸に手を置いた奈子がオレを呼ぶ声。


目を閉じた。
瞼の奥で微笑む奈子がいて。
目を開ければオレを見て笑ってくれてる。


「ハリー!!」


それだけでなんでも出来る。
オレの力になるんだ。





「ハリーすごく格好良かった……!!」
「そ、そっか」


ステージを下りたオレに待ってたのは、笑顔とプレゼントだった。


「……感動しちゃった。」
「……サンキューな。オマエのおかげで……」
「え?」
「ハハッ、なんでもねぇよ。コレ、サンキューっつったの。」


胸に指したピンを見た奈子は、どういたしましてとニコニコ笑う。


集まった分だけプレゼントが交換される会場で。沢山いる中オレ好みのプレゼントを奈子が選んでくれてた事。しかもソレがオレの手元にきた事。


重なる偶然みたいな、奇跡。


若王子が言ったのもあながち嘘じゃないかもしれない。
とびっきりの御褒美とクリスマスがくれた奇跡にオレは興奮してた。


だから最初は気がつかなかった。気のせいかと思ったんだ。


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あきゅろす。
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