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グラスの代わりにマイクを持ったオレをからかうダチをかわしては、栗色の髪を探して走り回った。

普段と違う着飾った女達の中でも見つける自信はあった。
一番キラキラしたヤツを探せばいい。


だけど、
時間が迫ってる。
ステージに立つ前に奈子に会いたいのに。


「……ハリー!!」
「!!」


焦りまくったオレにドレスアップした奈子がオレに向かって走ってくる。
なんか拍子抜け……。


「メリークリスマス!!ハリー」
「メリー、クリスマス……」


オレの前に立った奈子は、ハァっと息ついた頬が薄く染まってて。スッと立つ姿は大輪の花。
赤いミニのタイトドレスがバッチリ決まってる。


「……似合ってんな。ドレス」
「あ、ありがとう。」


赤い花。
大好きな色に包まれた大好きな……、


……クソッ、ゆっくり話てぇな。
でもボウッと見とれてる場合じゃねぇ。
時間がねぇんだ。


「……あのさ!オレこれからステージ立って歌うんだよ」
「えっ?」
「……一曲だけだけど。クリスマスソング」


バックミュージック担当の軽音部の連中のほとんどが顔見知りだしダチもいるっつったって。
声もいつもみてぇに出ねぇし、リハもしてないカラオケみてぇなモン、だけど……。

スッと息を吐く。


「……オマエの為に、歌うから!一番前で見てろ、オレの事。」


一気に言った。

オレの口から出た本音。
誤魔化しようもないオレの気持ち。


びっくりしたみてぇに頷いた奈子を確認してからダッシュでステージに向かった。


恥ずかしい……ゼッテェ、耳まで真っ赤だ。


オレの願いが叶うなら一つだ。


サンタに願ってやってもいい。
クリスマスっての奇跡ってヤツにも。


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