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「幸之進!!なぁに、アレ!……片付けっくらいちゃんとしなさいってアレほ…ど……」


買い物袋を両手に持ったオフクロが扉を開けたと思ったら目を丸くした。
そのまま静かに扉が閉まる音に奈子がフッと顔を上げて目ェ擦る。


……かぁー、台所か?
いいトコだったのに……


溜め息ついてクローゼットから厚めのコートとマフラー取りだした。
完全防備しだしたオレを奈子は不思議そうに首を傾げてる。


「……送ってく。」
「……えっ!?いいよ、一人で帰れるよ。ハリー風邪…」
「直った。」


嘘だ。直るワケねぇ。
喉の異物感は取れないまんまだし。頭は熱でふわふわすっし。
だけどさ。


「もうちょっと一緒に、……」
「え?」
「……なんでもねぇ!!……お、送ってってやるっつってんだから、オマエは素直にうんって言っときゃいいんだって!!」
「う、うん。……ありがとう。」
「……おしっ、じゃあ行くぞ!」


かしこまって下げた頭をポンって叩いて玄関開けた。


もうちょっと一緒にいたい。
ふいに出そうになっちまったのは本音だった。

奈子が帰った部屋で一人残されんのはちょっとキツい。


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