星野視点 5
「おじゃましま〜す」
生徒会室のドアを開けると、やっぱり全員そろっていて、静かだけど忙(せわ)しなく仕事をしていた。
みんな早い。大変なんだな、生徒会のやつらも・・・。
「「いらっしゃぁ〜い!雪」」
いつもの通り俺に気付いた双子が勢い良く抱きついてきた。
「だぁぁぁぁぁ!!!もう!!だから重いんだって」
小柄だとはいえ、俺と10cmも変わらないような高3の男を二人も支える力は、俺には無い!!
「うわ!?チョッ、マジ離せって!!」
もう無理!!と倒れそうになった所を、日向先輩に助けて貰った。
「大丈夫か?雪。」
双子を俺から軽々と剥すと、心配そうに俺が怪我していないか、確認しながら聞いてくれた。
寡黙で優しい日向先輩は、どうやら、いろんな武道をしているらしく、背が高くて、がっちりとした体格をしている。小さいヤツらに人気の先輩だ。
俺も、先輩みたいだったら、双子くらい支えられるんだろうなと、先輩の筋肉質の腕を擦っていると、
「ゆ、雪!?」
と先輩は、真っ赤になって慌てていた。
お!先輩は、くすぐったいのが苦手なのか?と腕を擦っていた手を先輩のお腹に移動させて、少しずつ上へと這わせていく。
先輩の様子を見てみると、顔を真っ赤にさせて、何かに耐えているように見えた。
はは!面白れぇと、続けようとすると、
「はい。そこまでだよ?」
と、俺の両腕を後ろから掴んだ、紫藤に止められた。
「日向も早く行っておいで。」と紫藤が言うと、日向先輩は、生徒会室から慌てて出て行ってしまった。
「あれ?もしかして、先輩用事があったのか?」
悪い事しちゃったなと、頭を掻いていると、
「雪は、気にしなくていいよ。」
と、紫藤が優しく微笑んでいた。
ほら、やっぱり、紫藤は俺に優しい・・・。
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