優しい雪くん
悲しくて俯いた僕に、双子達は全く気付かず、楽しそうにどんどん続けた。
「雪!!今日は、愛しのあの子と、一緒にご飯食べなくても良かったの?」
「あははは!!そうそう!けど、もちろん、僕達は雪から離れないけど!」
「「ね〜!!」」
左右両方から抱き付いて、頬ずりしている双子達に、雪くんは、
「だぁぁぁぁぁ!!優希の前でそんな事言うな!!もう、分かったから引っ付くなって!!。」
と双子を剥そうと必死だ。
「けど、雪。あの子ってライバル多いみたいだよ?」
「そうそう!中でも、あの、下半身バカの章吾が追っかけまわしてんのって有名だよね!?」
「うん!有名!」
双子は、懲りずに雪くんにしがみつきながら頷きあっていた。
「・・・知ってるよ。」
雪くんは、会長の名前に一気に不機嫌になったように見えた。
きっと、前に食堂で起こった会長とのいざこざを思い出したんだろう。
あの時、雪くんはすごく怒っていたから・・・。
優しい雪くん・・・。
僕の為に、あんなに怒ってくれていた。
龍馬君の時もそう・・・。
雪くんは、全然悪くないどころか、被害者なのに、僕が怪我したことをすごく気にして、一週間近く、飲食もせず、引きこもってしまった。
その上、泣きながら謝ってくれたんだ。
あの時の事を思い出すと、胸が塞がる思いがする・・・。
あまりにも、雪くんが痛々しかったから・・・。
優しい雪くん・・・。
そう、雪くんは本当に優しい・・・。
けれど、僕は、今、その優しい雪くんに嫉妬している・・・。
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