驚愕の昼休み
久しぶりに来た雪くんは、やる事があると言っていた通り、休み時間になるたびに忙しそうに教室から出て行ってしまった。
ノンちゃんも不思議に思っているようで、
「・・・なんだ、アイツ?」
と首をかしげながら、眉間にシワを寄せていた。
昼休みになっても、変わらず雪くんは、忙しそうに、すぐ教室から出て行ってしまった。
S組の皆も、呆気に取られて、毒気が抜かれたようだった。
これは、これで、ある意味良かったのかも知れないと、僕はそう思うことにした。
雪くんも、行ってしまった事だし、ノンちゃんと二人で食堂に行くと、いつもの様にノンちゃんに叱られながらも、お気に入りジュースとフルーツを取って、空いている席へと座った。
ノンちゃんのプレートは、やっぱり和食中心で彩り良く盛り付けられている。
けれど、ご飯はてんこ盛りだった・・・。
気持ち良いくらい、ご飯を掻き込み食べているノンちゃんの体を眺めて、こんなに細いのに・・・と、決して口には出せない言葉を思い浮かべて微笑んだ。
僕も食べようと、フォークでリンゴを刺した瞬間、食堂内が揺れるくらいの悲鳴や驚愕の声が響き渡った。
びっくりして、リンゴを取り落としながらも、皆が見ている食堂入り口を見てみたけど、人の山で、全く見えない。
「見に行ってみよう。」と言うノンちゃんと一緒に、食堂入り口まで行くと、僕達に気が付いた子達が、道を開けてくれた。
「ありがとう。」と笑顔でお礼を言うと、皆、顔を赤くして、慌てだした。
どうしたんだろうと、思っていると、「早く行くよ!」とノンちゃんが不機嫌そうに僕の手を引っ張って人の隙間を縫って行った。
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