久しぶりの登校
教室に着くと、何やら皆騒いでいる。
どうしたんだろう?と教室内を見回してみると、
雪くんの机に鞄が置いてあった。
雪くん来てるんだ・・・。
良かった・・・。
ホッと机を見ながら胸を撫で下ろした。
あの一件以降、雪くんへの机への嫌がらせが無くなっている。
S組の皆が、あの嫌がらせのために、僕がどんな目にあったか、皆良く分かっていたから、協力して、目を光らせていてくれているみたいだった。
けれど、それは、あくまでも僕のためにしてくれている事であって、雪くんへの負の感情は、休んでいる間も、今まで以上に酷いものとなっていた。
どれだけ、僕が皆に言い聞かせても、僕が怪我したのを目(ま)の当たりにしている皆が、決して頷いてくれることは無かった・・・。
机に鞄だけなんて・・・やっぱり、今まで以上に教室に居づらくなってるのかな・・・?
ノンちゃんと別れて、机に向かって考え込んでいると、時計塔の鐘が鳴るのと同時に変装をした雪くんが、教室に走りこんできた。
「雪くん!」
良かったと、やっと来た雪くんに声を掛けると同時に先生が教室に入ってきた。
すると、雪くんは、人差し指でシーのポーズをとって
「おはよう、優希。」
と小声で優しく挨拶をしてくれた。
「おはよう。雪くん。」
久しぶりに隣の空席が埋まっている幸せに、僕は笑顔がこぼれて仕方が無かった。
そんな僕を、切なそうに、幸せそうに見つめてくる雪くんの視線を不思議に思いながらも、始まりだした授業に耳を傾けた。
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