緊張の登校
朝の準備を終えた僕達は、寮を出て、学校へと向かっている。
何が起こるかわからないと、緊張しながら歩いていたけど、何事も無く、学校に着くことができて、ノンちゃんと二人、安堵のため息をついた。
良かった・・・。けど、まだまだ油断は出来ないよね。
靴を履き替え、廊下を歩いていると、突然知らない子達が4、5人で僕達の前に立ちふさがってきた。
それを見たノンちゃんが、僕を庇うように前に立ちはだかり、
「・・・僕達に、何のよう?」
と、その子達に向かって威嚇している。
ノンちゃんの迫力に飲まれたのか、その子達はお互いの顔を見つめ合うと、おずおずとその中の一人の子が、僕に話しかけてきた。
「あ、あの、優希様!!・・・あ、あの、あの、・・・僕達、あんな噂、信じていませんから!!」
そう、叫ぶように言うと、感極まったのか、ボロボロと泣き出してしまった。
他の子達は、泣いている子を慰めながら、「会長親衛隊以外の皆は、優希様を信じています!!」と、口々にいろんな言葉で僕を気遣ってくれた。
僕は、一生懸命な皆の様子が嬉しくて、泣きそうになりながら「ありがとう・・・皆。」と笑顔で答えることができたんだ。
ノンちゃんは、僕を笑顔で振り返りながら、「良かったね。」と頭を撫でてくれている。
うん。・・・うん。良かった・・・。
皆、本当にありがとう。
「僕達は、それが言いたかっただけなんで。」それじゃあ失礼しますと、みんな戻っていった。
その後姿を見送っていると、そのうちの一人が、クルッと振り返って、
「きっと、副会長も信じていませんよ。」
そう言うと、みんなの後を追って走りさっていった。
その言葉に、自分の肩が跳ね上がったのが分かる。
本当に・・・?
あの方も、僕を信じてくれているのだろうか・・・。
どんなことがあっても、どんなに近くに居ても、決して、僕だけは見ようともしてくれない、あの方が、本当に・・・。
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