星野視点2
雪SIDE
さっぱりしたと、髪をタオルで拭いながら、キッチンを覗いてみたけど、優希はいなかった。
リビングか?とそちらも見たけどいない・・・。
もしかして、あまりの長風呂に呆れて帰っちゃったのかと、靴を見に行ったら、優希の靴がまだあった。
ホッと息をつき、じゃあどこに行ったんだ?と自室のドアを開けてみれば、ベッドに凭(もた)れて座りながら眠っている優希を見つけた。
俺は、僅(わず)かに口元を綻ばせて、そっと近寄り、優希の脇と膝の裏に手を差し込んで、ベッドに寝かせた。
月明かりに照らされた優希は、青白くてまるで彫刻のように綺麗だった。
冷たくなっていそうで、そっと、優希の頬に触れて感じたその温もりに、安堵のため息をついて、ジッと見つめた。
優希・・・ごめん
大切な君を、傷つけてしまった。
優しい君は、俺のことも、龍馬のことも許してくれたけれど、俺は自分が許せない・・・。
君のために、何かをしたいんだ。
君のために出来ること・・・
・・・ひとつだけ、心当たりがあるんだ。
実は俺、昔の紫藤のこと、少しだけど知ってるんだ。
昔の紫藤は、厄介なやつだったけど、あんな笑い方をするヤツじゃなかった・・・。
何があったか、調べてみるから。
とりあえず、紫藤と仲のいい生徒会に探りをいれてみることにするよ。
幸い、あそこの双子には気に入られていることだし、うまく行くようにがんばるから。
・・・だから、
幸せになって欲しい・・・。
けれど、
出来ることなら、俺が幸せにしたかった・・・。
好き。
好きだよ?・・・優希。
俺は、そう心に誓うと、眠っている優希にそっとキスをした。
触れるだけの、優しいキスを・・・。
このまま自分のものにしてしまいたい衝動に駆られながらも、名残惜しそうに優希の唇を、指でなぞっていると、くすぐったいのか身動きをしだした。
やばい!起きたかも!
しばらく、様子を見ていたけれど、起きる気配がないことに安心していると、優希の胸元からペンダントが覗いていることに気が付いた。
そっと手にとって見ると、本物の四葉のクローバーを加工したもので、優希に良く似合っていた。
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