龍馬の願い
僕は、興奮して肩で息をしながら泣いているノンちゃんを抱きしめた。
「・・・もう、いいから・・・もう・・・いいから。・・・だから・・・」
ノンちゃん、もう、泣かないで・・・。
ノンちゃんを落ち着かせるように、ゆっくりと背中を撫でた。
大丈夫だから・・・。
僕はもう、大丈夫だから・・・。
僕達が抱き合っていると、
「川原・・・俺が、こんなこと頼めた義理じゃねぇのは百も承知だが、雪を・・・雪を助けてやってくれないか?」
と苦しそうな龍馬君の声が聞こえてきた。
え?雪くん?
そうか・・・
突然の龍馬君の土下座の意味が分かった・・・。
あんなに嫌っていた僕に土下座して謝罪をしにきたのは、雪くんのためにだったんだ・・・。
僕はノンちゃんの肩から顔を上げて、龍馬君を見ると、龍馬君は、顔を上げていて、僕に懇願するように見ていた。
「雪くんに、・・・何かあったの?」
雪くんは、学校を休んでいたから大丈夫だと思っていたけど、まさか寮にまで嫌がらせが・・・?
僕の表情で、心情を悟ったのだろう、龍馬君が静かに首を横に振っていた。
龍馬君の動作に安堵のため息をしたものの、
「じゃあ、いったい何があったの?」
ノンちゃんを抱きしめたままそう聞くと、
「あの日、川原達が出て行った後、雪が教室に来たんだ。」
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