学校説明
あれから眠れないまま、朝を迎えた。
少し早かったけど、朝の支度を始める。顔を洗おうと洗面所に移動したら同室者の部屋のドアが開いた。
「おはよう、ユキちゃん。いつもより早くない?」
「うん。なんだか目が冴えちゃって・・・。もう寝れそうにないし。」
目を擦りながら、朝の挨拶をしてくれたノンちゃんに返事をする。ノンちゃんはぼくの同室者で名前は、浅生 望っていう。僕たちは一緒に行動することが多い。なぜかというと、同室ということ以外に共通する場所がふたつあるから。ひとつは教室で同じ2年S組。
僕たちの学校は日本有数の有名男子校でいわゆるお坊ちゃま校と呼ばれている。その佇(たたず)まいはまるで中世の城を連想させるような造りをしていて、見る者を驚嘆させた。特に中央に位置する時計塔は圧巻でこの学園のシンボルともいえるだろう。
そして、完全なる全寮制だ。みんなここで生活をともにしている。
ここのほとんどの学生には、将来日本の大企業を担う未来が待っている。そんな良家の子息達が集まる場所は外界から隔離された場所にそびえ立っていた。
こんな隔離された環境に置かれた高校だけど、親たちにとって息子が通うということが、ひとつのステータスになっていて、こぞって入れたがった。子供たちにとっても同様なようで、学園の生徒であることに誇りを持っている。中でもS組は選びぬかれた人材が集まっていた。日本有数の大企業の子息であったり、類まれなる才能を持った企業の息子であったり。共通して言えることは皆そろって容姿が良いという事だ。
だから、S組というだけで、他の生徒からは憧れの存在になっている。声を掛けることすら憚られ、逆に掛けてもらった生徒は、気絶するものまでいるという。
大げさな・・・。
かく言う僕もその一人だ。いや、更に特殊か・・・。僕たちは。
ノンちゃんと共通する場所のふたつめ。
それは、僕たちが親衛隊に所属していることだ。
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