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どんな事でも




「君が手を引いてくれるのなら、何でもする」


どれだけ不利なことを言われようとも、それで君の気が少しでも晴れるのなら。


「どんな事を言ってくれてもいいから」


この言葉が、逆に君を傷つける言葉だったとしても。


「だから、川原くんから手を引いてくれないかな?」


彼を守りたい―――


僕にあるのはその想いだけだから……。




――――


―――――――



真っ青な顔色の彼が今、何を考えているのかなんてわからない。


僕の言葉に傷つき呆然としているだけなのか。


それとも、僕に何をさせるか練っているのか。


だけど、僕は銀明くんの言葉をじっと待ち続けた。






どれくらいそうして居ただろう。


いつまでも続くように思えていた沈黙は、不意に破られる事となる。


「……ねえ」


「……何?」


「なんでもするって……言ったよね?」


「……うん」


言ったよ?何でもする。


彼を守るためなら。




「じゃあさ。……あの子を、親衛隊から辞めさせてよ」




銀名君のこの言葉は想定内だった。


けど、


実際に言われてみると、かなりキツい。


眉根を寄せて、奥歯を噛みしめた。




また、彼を傷つけてしまう。


それだけが辛くて堪らない……。


きっと、これが決定打になる事だろう。


今度こそ、彼は僕に愛想をつかしてしまう。


それこそが、もっとも望んでいたことだというのに。


本意じゃなかったんだと思い知らされる。


僕はいつだって、彼と共にありたいんだ……。





「わかった」


静かな教室に重い一言が響き渡った。



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