[携帯モード] [URL送信]
誰のもの





「まぁ、いい。そんなことより・・・。」


 会長はそう言うと、僕に視線を向けてきた。


「よぉ。相変わらず、かわいいじゃねぇか」


 ねっとりとした厭らしい目で僕を舐める様に見てくる会長に、目を伏せ、顔を背けた。


 拒絶する僕の様子を、楽しそうに笑って見ている気配がする。





 ・・・・生徒会長、立花翔吾




 彼には、たびたび声を掛けられていた


 夜の相手として・・・。


 もちろん、僕は誘いに乗ることはない。


 あの方の、側に居れなくても、


 幼い頃、あの方が言ってくれたように


 白雪のように、真っ白でいたかったから・・・





「紫藤なんて止めて、そろそろ、俺のものになれよ。可愛がってやるぜ?」


「・・・っぃや!?」


 そう言いながら、僕の耳の下に手を差し込んでくる会長に恐怖を感じて、抵抗した瞬間、





「やめろ!!!」


 と、言う声が聞こえたと同時にすごい力で、後ろに引っ張られた。


 僕の背中が、誰かの硬い胸板にぶつかったと気が付いた時にはもう、後ろから抱きしめられていた。


 そっと、後ろを仰ぎ見ると、それは雪くんで、彼は憤怒の表情で会長を目で射殺さんばかりに睨んでいた。





「優希にさわんな。」


 雪くんは、僕を抱きしめたまま、静かに会長を威嚇していた。


「ハッ!てめぇにそんなこと言う権利はねぇだろ。優希は、今のところ紫藤のものだ。・・・まぁ、いずれは、俺のものになる予定だがな。」




「・・・え?」




 雪くんがそう呟くと、僕を抱きしめていた手が、力を無くして、だらんと下に落ちた。


 不意なことで驚いた僕は、再び雪くんを仰ぎ見ると、彼の目は、驚愕に見開かれていた。





[*前へ][次へ#]

9/35ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!