誰のもの
「まぁ、いい。そんなことより・・・。」
会長はそう言うと、僕に視線を向けてきた。
「よぉ。相変わらず、かわいいじゃねぇか」
ねっとりとした厭らしい目で僕を舐める様に見てくる会長に、目を伏せ、顔を背けた。
拒絶する僕の様子を、楽しそうに笑って見ている気配がする。
・・・・生徒会長、立花翔吾
彼には、たびたび声を掛けられていた
夜の相手として・・・。
もちろん、僕は誘いに乗ることはない。
あの方の、側に居れなくても、
幼い頃、あの方が言ってくれたように
白雪のように、真っ白でいたかったから・・・
「紫藤なんて止めて、そろそろ、俺のものになれよ。可愛がってやるぜ?」
「・・・っぃや!?」
そう言いながら、僕の耳の下に手を差し込んでくる会長に恐怖を感じて、抵抗した瞬間、
「やめろ!!!」
と、言う声が聞こえたと同時にすごい力で、後ろに引っ張られた。
僕の背中が、誰かの硬い胸板にぶつかったと気が付いた時にはもう、後ろから抱きしめられていた。
そっと、後ろを仰ぎ見ると、それは雪くんで、彼は憤怒の表情で会長を目で射殺さんばかりに睨んでいた。
「優希にさわんな。」
雪くんは、僕を抱きしめたまま、静かに会長を威嚇していた。
「ハッ!てめぇにそんなこと言う権利はねぇだろ。優希は、今のところ紫藤のものだ。・・・まぁ、いずれは、俺のものになる予定だがな。」
「・・・え?」
雪くんがそう呟くと、僕を抱きしめていた手が、力を無くして、だらんと下に落ちた。
不意なことで驚いた僕は、再び雪くんを仰ぎ見ると、彼の目は、驚愕に見開かれていた。
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