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利用価値

『まあ、回復しようが今更だ。立花様との縁を切ったお前には何の利用価値も無い。あるとすれば直系の血筋という肩書きだけだ。ま、それも綾原のお嬢さんが兄貴と結婚して男子でも産めばその価値さえなくなるんだがな。』


何・・・?


兄貴ってもしかして父さんの事・・・?


けど、父さんは・・・。


『け、結婚って、父さんは母さんと結婚してるじゃないですか。』


『あ?はははっ、あぁ、今はな?』


『今は、ってどういう事ですかっ!』


『煩い。貴様には関係の無い事だ。今すぐ、この家から出て行け。』


『出て行けって・・・ふざけないで。この家は僕の家だよっ?出て行くなら叔父さんの方だっ!!』


扉を指差しながら、叔父さんに出て行くよう言い放つ。


子供だからと馬鹿にして。


言いたい放題になんてさせないっ!


僕の言葉に激怒したのか、叔父さんが大またでズンズン音を立てながら近付いてくる。


そして、僕の目の前に立つやいなや、僕の胸倉を掴み


『貴様・・・出来損ないの分際でっ!!』


そう言って、左腕を振り上げた。


殴られるっ!


そう思って目を瞑った瞬間、


『美怜様ぁぁっ!!』


宇野の叫び声が聞こえた。


その直後、バキィィッと言う音と共に凄まじい衝撃が僕の脳を揺らした。


『っっっぐ!!??』


殴り飛ばされたと気づいた頃には、床にしこたま腰を打ちつけた。


激しい痛みに熱が伴い、声すら出ない状況で顔を歪める。


『美怜様っ!!』


宇野が駆け寄ってきて僕の隣に膝を付いた。


どこからか取り出したハンカチで僕のコメカミを押さえている。


衝撃で切れたのか?


鈍痛はするけれど、切れたような痛みはわからなかった。


それよりも熱くて、熱くて・・・。


痛みに耐えながらも座り込んでいると、


『お前は、紫藤にとって無用の存在なんだ。早く母親の元へなりどこへでも出て行け。』


叔父さんはそう言うと、ここには用無しとばかりに足早に立ち去った。


その後姿を睨む事もせず、僕はジッと足元だけを見続けた。


激しい痛みの中、さっきあった出来事や昨日の出来事を必死に頭の中で整理する。


【きさま・・・どこまでも邪魔しおって・・・。顔も母親譲りならしぶとさも母親譲りかっ!なら、母親同様、この家から出て行けっ!】


【まあ、回復しようが今更だ。立花様との縁を切ったお前には何の利用価値も無い。あるとすれば直系の血筋という肩書きだけだ。ま、それも綾原のお嬢さんが兄貴と結婚して男子でも産めばその価値さえなくなるんだがな。】


【あ?はははっ、あぁ、今はな?】


【綾原梨乃よ。よろしくね?】


【ふふっ、ちなみに、もうすぐ貴方の母親になる予定よ?】


・・・・・・


・・・どういう事?


考えれば考えるほど、信じたくない結論へとぶち当たる・・・。


僕の身体に痛みと熱以外の別の何かが蠢いている・・・。



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あきゅろす。
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