一週間後
あれから一週間が経過した今日、僕はあの重厚な生徒会室のドアの前に立っている。
昨日立花さんが、「そろそろ頃合だな。」と言ったのを皮切りに、突然事態は動き出した。とうとう僕を会長補佐として生徒会役員に紹介する事になったんだ。
とりあえずは、正式に発表する前に生徒会役員に顔合わせするだけだといっていたけれど・・・。
はぁ、緊張するな。
さっきから何度唾を飲み込んでいる事だろう・・・。
震える指先をドアに伸ばしては、引っ込めて握り締めるの繰り返し。
この中に、あの方がいると思うとドアをノックする事を躊躇わせる・・・。
けれど、忙しい立花さんが僕の為に時間を作ってくれたんだ。これ以上待たせるわけにはいかないと決心した僕は、キッと顔を上げてドアをノックした。
コンコン
・・・・・
・・・・・
シ〜ン
あれ?おかしいなぁ?
暫く待っていたけれど返事が無い。仕方ない、もう一度ノックしよと、してみたものの、やはり反応が無かった。
うぅ、どうしよう・・・。
昼休みにご飯を食べてから生徒会室に来るよう言われていたのに・・・。
勝手にドアを開けちゃってもいいのかな・・・?
・・・っていい訳ないよね。
ドアの横に達筆で書かれてある<生徒会役員以外立ち入り禁止>の文字が僕を躊躇わせている。
あの達筆は絶対に日向先輩の文字だ。だって筆で書かれてる・・・。
うぅ、どうしよう時間もないのに。ふぇ〜ん、立花さぁんっ!!
半分泣きそうになりながら、心の中で助けを求めていると、
「「あれぇ?君は川原くんっ!!」」
綺麗にハモっている声が廊下の方から聞こえて来た。
僕は、クルッと振り返り見てみると・・・。
「あっ、あなた方は、上ノ山先輩。」
そう、僕に声を掛けてきたのは、この学園の名物、双子の会計こと上ノ山諒星先輩と流星先輩だったのだ。
「こんな所で何をしているの?」
「あ、あの・・・。」
「あぁっ!!もしかして翔吾に会いに来たのっ!?」
「実は、あの・・・。」
「えぇっ!?そうなのっ!?とうとう生徒会室にまで遊びに来る様な仲になっちゃったんだっ!!」
「え、えと・・・。」
「「雪ピ〜ンチっ!!」」
うぅ、二人のマシンガントークに入れない・・・。
けど、時間はどんどん経過して行っている。
このまま、オロオロしているだけじゃダメだ。早く中にいる立花さんを呼んで貰わなきゃ。
そう思って息を吸い込んだ瞬間、
「とりあえず中に入りなよ!雪の事も気になるけどさ、噂どおりかどうか翔吾の反応が見てみたいっ!!」
「うんうんっ!!さぁ、早く入りなよっ!!」
「面白そうだよねっ!!ほらほら奥へどうぞっ!!」
そう言ってノックもなしに開かれた扉の中にアレヨアレヨという間に連れ込まれてしまった。
「ほぇぇぇ〜。」
僕はというと、たっぷり息を吸い込んでいたせいか、情けない声が思わず出てしまった。
「あははっ!!ほぇぇぇ〜だって可愛いっ!!」
「川原くんって面白いねっ!!」
お、面白かったのか・・・。恥ずかしい・・・。
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