食堂
食堂に着くと、生徒達でごった返していた。
ふっと雪くんが立ち止まる気配がして、振り返ってみると、食堂の入り口で固まっていた・・・。
「な、なに?ここ・・・?高級ホテルのレストランみたいだ・・・」
ここの学園の食堂は、ビュッフェスタイルを取り入れていて、好きなものを好きな量だけお皿に盛り付けていく。もちろん、料理によって、注文すると目の前で焼いてくれたりもする。ステーキがいい例だ。
「こっちから順番に並んで好きなものを取っていくんだよ?」
そういうと、プレートを二枚とって一枚を雪くんに渡した。
「ここのフレッシュジュースがすごく美味しくて、僕のお気に入りなんだ!」
ふふっと笑いながら「ほらあれ!」とジューサーを指差して雪くんに教えてあげると、雪くんは嬉しそうに頷きながら、僕の頭を撫でている。
絶対子ども扱いされてるよ・・・。と恥ずかしくなって俯いていると、周りのざわめきが大きくなった。
「なに、あいつ・・・」
「優希さまに馴れ馴れしくして・・・」
「身の程知らずも、ここまで行くと救えないよね?」
「優希さまが優しいからって調子に乗ってるよ。」
ざわめきの中から、雪くんを非難する声が聞こえてくる。
むっとした僕は、注意しようと思ったけど、雪くんに止められた。
「なんだか、一日で慣れたよ。言いたいヤツには言わせておけばいい。」
「けど・・・。」
「他のヤツにどう思われていようと構わない。優希さえわかってくれれば、それでいいから。」
雪くんはそういうと、何事もなかったように、いろんな料理をプレートに盛り付けていった。
僕は、腑に落ちなかったけど、雪くんがそういうのならと、気持ちを切り替えて、料理を盛り付けていった。
料理を取り終えた僕達は、奥のほうに空席を見つけてそこに移動した。
「・・・優希。もしかして、それだけ?」
「もう、雪くんも、ノンちゃんみたいなこと言うんだね?・・・ノンちゃん・・・」
フォークを銜(くわ)えながら項垂れていると、
「昼休みが終わったら、あいつも教室に戻ってくるはずだからさ、俺があいつに話をしてみるよ。」
雪くんは「だから心配するな」と微笑みながら僕を慰めてくれた。
「ふふっ雪くんて優しいね?」
首をかしげながら、そういうと雪くんは真っ赤になってそっぽを向いてしまった。
クスクス
照れてるんだ・・・。
クスクス
クスクス
「あ、うわさの転入生はっけ〜ん」
食堂内に声が響き渡った・・・。
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