夢だった
「夢・・・・?」
寝起きで全く働かない頭を捻りながら、周りを見渡してみる。
見慣れた風景に、即座に納得した。
ここは、寮にある僕の部屋。そして、窓の外にはレースのカーテン越しに青白い満月が見えた。
僕は、布団をそっと剥いでおもむろにベッドから立ち上がる。
足音を立てずに窓に近付いてゆっくりとそれを開けた。
春先の夜風はまだまだ冷たくて、僕の体を冷やしていく。
いくら外を見ていても、あなたの部屋は見えないけれど、同じようにあなたも月を見ていればいいのにと、淡い期待を抱きながら月を見つめる。
そう思うと、月ですら愛おしく感じる。
僕は、胸にあるペンダントのトップ部分をギュッと握った。
あの日、交換し合った四葉のクローバーを両親に強請って加工して貰ったペンダント。
ずっと大切にしまっていたけれど、入学式であなたを見つけてからは、常に身に着けるようにしている。
少しでも、あなたに近づけるような気がしたから・・・。
けれど、あなたは遠い遠い存在で
あの時のことを聞くことは出来なかった。
覚えていますか?
必死で探したことを。
覚えていますか?
四葉のクローバーを。
・・・覚えていますか?
僕のことを・・・。
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