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秘密の部屋



 僕の反応に気を良くしたのか、彼は小さく笑うと、僕の膝の裏に手を差し込み、抱き上げた。


 抱き上げられた事で、彼の顔が近くなり、そっと見上げて見ると・・・。


「立、花さん・・・。」


 そう、彼は、この学園の生徒会長・・・。


 立花翔吾だったのだ・・・。


「ククッ、今頃気付いたのか?」


 立花さんは、楽しげに笑うと、僕を抱き上げたまま、温室の中にある管理部屋のようなところへと入っていった。


 中に、入ってみると、空調が効いているのか、温室の中とは思えないほど湿度が抑えられていて、息苦しくなかった。


 呼吸が楽になり、ホッとため息を漏らしていると、立花さんは立ち止まり、僕をゆっくりと降ろしてくれた。


 降ろさせたのは、真っ白なシーツが張られたベッドの上・・・。


 鈍感な僕でもすぐに分かった・・・。


 これから自分の身に何が起こるのか・・・。


 けど、なんでだろう・・・。


 不思議と、恐怖心は無かった・・・。


 虚ろな瞳で、立花さんを見つめていると、


「秘密の部屋へようこそ。」


 僕の視線に気付いたのか、ネクタイを外しながら、笑ってそう言った。


「ひ、みつ・・・?」


「あぁ・・・。ウチの親衛隊は、そう呼んでいるらしいぜ?ここは俺のプライベートな空間なんだ。俺は絶対にあいつらを部屋に入れねぇからな。あいつらとヤル時は、いつもここを使ってんだ。」


 その言葉を聞いて、そっとシーツを撫でた。


 そっかぁ・・・。会長親衛隊の子は、いつも、ここで・・・。


「ククッ、それにしても、まさかお前の方からここに来るとはな。偶然とはいえ、今日はツイてる。」


 立花さんは、素早く制服を脱ぎ捨てると、ベッドの上に乗り上げてきた。





 ギシッ


 立花さんの重みで、ベッドが軋む。


 僕は、まるで他人事の様に、その音を聞き流していた。




「あぁ、やっぱ、想像していた以上にキメ細かい肌してるな。」


 立花さんの長い指が、僕の頬に触れた。



「・・・・・」


「綺麗だ・・・。」


 その指が、ゆっくりと移動して、僕の唇を撫でている。



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