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星野視点
雪SIDE



「なんで、あんな事言うんだっ!!」


「・・・・・」


 無言で、顔を背けたままの紫藤に詰め寄る。


「お前に、っぅく・・・お前に、あんな事言われたら、っく・・・。」


 さっきの優希の姿を思い出したら、胸が塞がって、勝手に涙が溢れてきた。


「・・・・・」


 紫藤は、苦しげに眉間にシワを寄せて、黙っている。


 だけど、俺は、そんな事なんて気にせず続けた。


「優希は、お前の親衛隊隊長じゃねぇのかよっ!!・・・っくぅぅ・・・お前が、信じてやらなくて、・・・っく・・・どうすんだよっ!!」


「雪・・・。泣くな、雪。」


「うるせぇよっ!・・・っく・・・俺に触るんじゃねぇっ!!」


 日向先輩が気遣わしげに声を掛けてくるけれど、俺にとってはその事さえ腹立たしかった。


「雪・・・。」


「・・・・・」


「今頃、優希泣いてるよ・・・。っく・・・一人ぼっちで泣いてるよ・・・。」


 あんなに震えてた・・・。


 あんな表情・・・初めてみたんだ・・・。


「雪・・・。だが、あやつは。」


「もう、黙っててくれよっ!!アンタとはもう、話したくないっ!!」


「っ!!雪・・・。」


「なぁ、紫藤・・・。なんで、あんな事、言ったんだ?」


「・・・・・」


「・・・お前が、そんなんじゃ、俺・・・。」


 何のために、今まで一体・・・。


 愛する人を諦めてまで、何のために今まで・・・。


 お前がそんなんじゃ・・・優希の想いは一体・・・。


 悔しくて、唇をかみ締めた瞬間、





「・・・彼に、処分は下さない。」


「っ!?」


「っ!?何を言っておるのだ!?」


「僕が言いたいのは、それだけだ。」


 紫藤は、それだけ言うと、踵を返して歩き出した。


 し、どう・・・?


 驚いた俺は、紫藤の気持ちを推し量れぬまま離れていく後姿を見つめた。


「生ぬるい事を・・・。俺は、騙されんからな。」


 日向先輩は、唸る様にそう言うと、俺の頭を撫でて生徒会室に入っていった。


 残された俺は一人、放心状態で立ち尽くした。





 紫藤・・・?


 処分はしないって・・・なんで?


 それは、優希が首謀者じゃないって分かってるって事、なのか・・・?


 じゃあ、なんであんな事・・・。


 紫藤・・・。




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