これからの事
はぁ・・・。
落ち込むのは止めよう・・・。
そんな事よりも、これからの事を考えなくちゃ。
そう、あの方が幸せになれる方法を・・・。
雪くんには好きな人が居るって、龍馬君が言ってた。
雪くんの好きな人って一体・・・。
その好きな人が、あの方であれば・・・。
そこまで考えて、ジッと目を閉じた。
ダメだ、落ち込んでる場合じゃない。
あの方の幸せの為に何かできる事を探さなくちゃ。
だって、僕は、
あの方の、親衛、隊長・・・だから・・・。
今にも折れてしまいそうな心を奮い立たせる様に言い聞かせて、温室を後にした。
やっぱり、随分と温室で立ち尽くしていた様で、授業が始まってしまっていた。
今更、教室に戻れないか・・・。
この時間の授業は諦めよう。
あっ、けど、ノンちゃんが心配してるだろうから、メールだけでも打っておこう。
ケータイを取り出し、ノンちゃんにメールを送った。
このまま何もしないんじゃ、余計な事まで考えそうだからと、今日会議を行った空き教室で書類整理をすることにした。
遠回りになるけど、仕方ない。
授業中の教室前を通るよりも良いかと、階段を最上階まで上り、人通りも、授業もない廊下を通って反対側の階段から一階降りて回り込もうと、階段を上った。
最上階には、生徒会室や、風紀室。美化室など、委員会で使用する部屋がならんでいる。
もちろん、生徒達は授業に出ているから、今の時間帯は殆ど人がいないんだ。
あぁ、生徒会室は別かな?
生徒会は、ある程度の授業免除の権利を貰っているから、今も、生徒会室に居るかもしれない・・・。
けど、殆ど、あの扉は開く事がないから大丈夫。
授業を免除されている分、授業中は、生徒会の仕事で掛かりっきりなはずだから。
だから、今頃あの方も・・・。
階段を上りきり、すぐ目の前に現れた、重厚なドアを眺めた。
ドアには、<生徒会室>のプレート。
ほんの少し前までは、このドアが開く事を期待して、親衛隊の子達と良く遠回りをしたっけ。
いつも使っている空き教室は、ここより一階下にあるんだけど、少しでもお姿を垣間見る事が出来ればと、ワザと一階余分に上がってこの廊下を通っていた。
けど、何度通っても、この扉が開く事は無くて・・・。
それでも、単純な僕の胸はいつも高鳴っていた。
あの方が、この扉の向こうにいるかもしれない。
そう思うだけで、僕には、十分だったんだ。
けど、今は、この扉が開かない事が、ありがたい・・・。
小さくため息を付いた僕は、足早にドアの前を通り抜けたのだった。
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