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星野視点 1
 雪 SIDE




 親にも、仲間にも何も告げずにこの学園に逃げてきた。


 小さい頃からいつも、俺の味方をしてくれていた叔父さんを頼って。

 
 すべての事情を話した俺に、居場所を作ることで気持ちの整理がつくならと、叔父さんが理事長をしているこの学園に入ることを快く了承してくれた。


 叔父さんは編入試験さえ受けてくれれば後は無条件で入れてくれると言ってくれたけど、すべて甘えるわけにはいかないと、特待生制度を利用した。


 無事、編入試験に合格した俺は、早速学園を訪れた。





 目の前に聳(そび)え立つ門に呆然としながら、門柱に在るインターフォンを鳴らした。


 すぐに応答があって、中に入ることが出来た。


 広い敷地をきょろきょろ眺めていると、一人の先輩と思(おぼ)しき人が近付いてきた。




 コイツ確か・・・。




 忘れるはずがない・・・。この王子様のようないでたち。完璧なまでにすべてが整った男は、過去に何度か見かけたことが在る。族同士の抗争で・・・。


 まずい・・・。


 けど、まあ変装してるからバレる事はないか。


 そう鷹を括って、あの男が近付いてくるのを待った。





「君が転入生かな?僕はここで副会長をしている三年の紫藤美怜<しどうみれい>。今から君を理事長室まで案内するよ。」


 そういうと、紫藤は俺に気づくことなく、先を促してきた。




 なんか、こいつ、前とどこか違うような・・・。


 違和感を感じた俺は、頭を捻りながらも、紫藤の後に着いていった。




 しばらく歩いていると


「ここが校舎だよ」


 紫藤はにこやかにお城の入り口の前でそう言った。


 
 

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あきゅろす。
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