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幸せは自分で掴むもの
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「ど、どう思う?」 



 ゴクリっと息を呑みながら竜ちゃんの返事を待つ。



「・・・はぁ。まずは総長だろう」



 それはそれは邪魔くさそうに竜ちゃんは答えたけど、興奮状態の僕が気づく訳もなく、


 
「そ、そうだよね!!やっぱり総長だよね!」



 さすがは竜ちゃん!



 よくわかってるなぁとうんうん頷きながら大満足の僕は、あきれたように竜ちゃんがみているなんて知らなかった。 




 王道を目指す中で、一番時間と労力がかかるのは総長になることだと思う。
 


 なぜなら、僕は顔は良い方だと思うし、頭も悪くはない。性格はまあ、頑張って演じるとして、理事長・・・理事長は論外だ。だって僕の伯父さんは理事長なんてしてないもん。(致命的・・・)



 遠い親戚や知り合いの知り合いまであたってみよう。うん。なんとかなるかも。(ほんとに?)



 となると、やっぱり総長だ。



 竜ちゃんも僕と同じ考えなら百人力だ!(そうかな?)




 散々竜ちゃん竜ちゃんて言っときながら今更かもしれないけれど、竜ちゃんは僕の親友で名前は芹沢竜一という。



 竜ちゃんは背が高くてすごくかっこいい。



 みんなも一目置いていて、クラスの憧れの存在であり、僕の自慢の親友だ。



 そんな人間が近くにいるのに、なぜ、彼を王道要員にしなかったかというと、ふたつ理由がある。



 まず、ひとつ目は、彼は下半身がゆるい。ゆるゆるだ。特定の恋人は作らず、いろんな相手をとっかえひっかえしている。あれだけ好き勝手しているのに、トラブルになったのを見たことがない。なんでだろう。謎だ。



 なにより、僕の中での王道とは純で芯がしっかりしていて、強そうに見えるのに思わず守ってあげたくなるような儚さも併せ持っている子のことだ。



 そういう子が僕の理想であり、譲れないところでもある。



 なので、初めの純の時点で竜ちゃんは完全にアウトだ。



 それに竜ちゃんはノンケだし。絶対に協力なんてしてくれないだろう。偏見はないみたいだけど、興味はなさそうだ。僕は興味大有りだけど!




 僕が竜ちゃんに腐男子であることがバレたのはホントに偶然だった。放課後、携帯でにやにやしながらBL小説を読んでいたところを、横から覗かれていたらしい。



 今、思えば軽率な行動だったよ・・・あの時の僕。



 気づいた時には既に遅し。



 サーっと血の気が引いていくのがわかって、背中にも大量の汗をかいているのを感じつつ恐る恐る竜ちゃんの様子を伺ってみる。



 当の竜ちゃんはというと・・・。




 無言で何事もなかったように帰ろうとしていた。



 竜ちゃんは僕のことをどう思っただろう。気持ち悪いとか思ったかなぁ・・・。
 



 けど、このままには出来ない。




 僕は意を決して、竜ちゃんに、「驚かないの?」と恐る恐る聞いてみれば、「何を今更・・・もう慣れた」と言われた。



 どういう意味だ!!!!!



 そのくらいのことではもう驚かないとばかりに竜ちゃんは、教室を出て行った



 平気で失礼なことを言う竜ちゃんだけど、僕にとって大切でかけがえのない親友なんだ。



 それがふたつ目の理由。




 唯でさえ、人気者の竜ちゃんが王道なんかになってしまったら、本当に手の届かない存在になってしまう。どれだけ離れていかないように引っ付いていたとしても限界があるだろう。




 竜ちゃん。




 僕のことを包み隠さず全部話せるのは竜ちゃんだけなんだ。




 だから王道なんかには絶対にしない。



 竜ちゃんは本当に大切な人だから。







「ところでさぁ、総長ってどうやってなるの?」



 慌てて追いかけた僕は、肝心なことを忘れていたと縋る様に竜ちゃんの顔を覗き込むと、竜ちゃんは、「はぁ・・・」と盛大なため息をついて頭を抱えてしまった。




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あきゅろす。
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