幸せは自分で掴むもの 4 僕が元気良く返事をすると、文さんは満足そうに微んで、僕の耳元で 「よそ見なんて、するなよ。」 と囁いたと思った瞬間、すれ違いざまに僕のほっぺたを唇が僅かに掠めていった。 「っ!?」 びっくりして文さんを振り返ってみたけど、何事も無かったように戻っていった。 僕は、ほっぺたを撫でながら 「余所見なんてしないよ?僕たち学生一同は。」(まだ言うの?) 文さんの後姿を目で追っていた僕は、僕を見る鋭い視線に全く気付いていなかった。 「倉橋 佑・・・。」 「うん、マジでむかつく!デブのくせに・・・。」 「岩谷さんが優しいからって、調子に乗ってるよ。」 技を盗もうと、懸命に文さんを見ていた僕の背後に、 「僕の知り合いに、この辺でNO.1のチームに入っているやつがいるんだ。」 「ホントに!?この辺でNO.1っていったら黒薔薇でしょ?」 「うん。そこの下っ端みたいだけどね。」 「十分だよあんなヤツ・・・。」 「ふふ、うん。頼んでみるよ・・・。」 危険が迫っていた。次章へ [*前へ] [戻る] |