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幸せは自分で掴むもの
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「し、心境の変化かなぁ〜。」


「ふ〜ん。心境の変化ねぇ。」


 うぅ・・・。僕、ごまかすのって得意じゃないからお願い、突っ込まないで・・・。祈りながらも、何とか話を逸らそうと、頭を回転させる。


「ところで、文さん今日も無駄の無い動きで技も冴えてたね。僕も早く、上手くなりたいなぁ。」


「そうかぁ?先生方に比べたら、俺なんてまだまだだよ。もっと精進しなきゃならない。」


 話を逸らすために、咄嗟に言ったこととはいえ、本当に思っていたことだからスラスラ喋れた。
 

 文さんはああ言ってるけど、他の門下生の人たちと比べても別格に上手い。特に僕たち学生にとって文さんは目標であり、憧れの存在だ。みんな文さんと組んでみたいんだけど、先生が適当に組み合わせを選ぶから、呼ばれるのを待つしかない。人数も結構いるし、なかなか当たらないんだ。だから、今日の僕はツイてる。



「そんなことない。文さんはすごいよ。だって僕、文さんの技を受けてたとき、ものすごく周りからの視線を感じて緊張して仕方なかったもん。みんな、文さんに憧れてるんだ。」


 ちょっと苦笑いしながら、そう話すと



「お前は?」



「ん?」



 どういう意味だろう・・・。小首を傾げてみると



「お前は、俺のこと、どう思ってる?」



 急に、真顔で僕にそう聞いてきた文さんにびっくりしたけど、<ふふっ、文さんでも人からどう思われているか気になることがあるんだ>と受け取って


「僕も同じだよ?みんなと一緒で文さんに憧れてる。だって、文さんは本当にかっこいいから。ふふっ知ってた?僕、道場にいる間中、文さんばっかり見てるんだよ?」


 文さんのキレのある動きをしっかり見てるようにってこの前、学生だけに先生が言ってたもん。だから、僕も含めて学生のみんなは文さんに視線が釘付けだ。


 僕なんかが、文さんを励ましていると思ったらなんだか恥ずかしくて、顔が赤くなるのを感じたけど、それでもどうしても、人の目なんて気にしなくていいよと文さんに少しでも伝えたくて、じっと目を逸らさずに切れ長の瞳を見つめ続けた。



「これからもずっと、俺だけを見ていろ。」



「うん!」



 もちろんそのつもりです!学生一同(え?)

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